片方無くしたイヤリング 再現創作します
毎日着けておられたイヤリング、ふと気づくといつの間にか耳から外れて片方だけが行方不明に。
気に入っていたので 同じように作って、とのご依頼をいただきました。
K18イエローゴールドで、片方になってしまったイヤリングの、左右対称形のもう片一方を創ります。
揺れる雫形と3本くっついた雲のようなパーツと…。
耳たぶに着けますので、できるだけ軽く。
もともとはプレス加工で作られていたはずの品を、型の無い状態でどのようにして同じものに作り上げるか、というところが課題です。
イヤリングですから、比重の大きいゴールドで分厚く作ってしまうと、耳から外れて落ちてしまうことになります。
0.3ミリの板地金をヤニの上に置いてタガネで打ち出して作ろうか、鉄の塊をタガネで凹形に彫って0.3ミリの板地金を打ち込もうか、K18イエローゴールドの展延性を自分の感覚と相談しながら、その他いろいろ頭の中で模索しました。
効率良く美しく仕上げるために、キャストして作ることにしました。
キャスティングの場合は、薄くても0.7ミリ程度の厚さがないと溶けたゴールドが板状の隙間にうまく流れてくれないので、製品の目方は片側見本品の2倍以上になってしまいます。
その問題を解決するために、鋳造時の金属の縮みしろとゴールドの形を整えるときのヤスリしろを考慮に入れて、ハードワックスの寸法を決めました。
出来上がりの雫形が0.3ミリの厚さで、もう片一方との寸法が同じになるように工夫しました。
右画像の右端が残っている方のイヤリングです。それを見本に左右対称形に左画像のパーツを作りました。
見本品は、たぶんプレス製で厚さが0.1ミリくらいです。
結局、左右対称形の元の片方と目方を比べてみると、だいたい8割り増しのグラム数でできました。キャストのジュエリーを0.2ミリ弱の厚さで制作したことになります。
これ以上薄くするとどこかが破れて穴が開いてきますので、この辺りが薄さの限界です。
本体パーツは18金ロウでロウ付けして、イヤリング金具や丸カンは14金ロウでロウ付け。
雫を吊り下げる丸カンは、高温ロウでは融けてしまいますので、10金ロウで閉じました。
この後、磨き仕上げ工程に入り、完成です。
ジュエリーリフォーム/フルオーダー 岡田彫金工房