0.5ミリの金線を差し込んで

左画像の赤い矢印位置の爪が折れて無くなっています。
青矢印位置の爪はすり減って短くなっています。

宝石を元どおりの状態に石留めするためにはどのようにするか、といいますと、
中央画像のように、折れた爪の位置にドリルで穴を開けます。

この場合は0.5ミリの丸線の入る穴です。
横の宝石には触れないように細心の注意を払って作業します。

そして右画像の緑矢印のように、K18の丸線を穴に差し込んで、このあとロウ付けして爪を再生します。

穴を開けて地金を差し込んでロウ付けするのは、ロウ付け面積を広くして丈夫にくっつけるためです。
これをしないと、金線の爪を曲げ倒す時に力に負けてまたポキンと折れてしまいます。
折れた面にそのまま金線をロウ付けするよりもかなり面倒な加工作業ですが、必要なことです。

ささくれたバリが出ているところは、きれいに掃除します。
すり減って短くなっている爪は取り去ってしまって、新しく長いK18丸線をロウ付けします。

このような方法で加工したりもします。

指輪のダイヤモンド裏の様子

見えなくなっているダイヤモンド

毎日使われていると、いつのまにか汚れがたまって、ダイヤモンドが見えなくなっています。
指輪を使われている方は表面は毎日目にしても、内側まで注意してご覧になることは少ないと思いますので、お気づきではないと思います。

左の画像、これはとても頑固な汚れで、きれいになるまでに30分あまりかかりました。

10分程度の超音波洗浄ではまったく歯が立たず、ブラシで突き洗いをしても効果は薄く、湯で柔らかくして楊枝で突き崩して、いろいろなものでかなりガシガシこすって、ようやく右の画像のようになんとかなってきました。
なんだか指輪の内側のくぼみに鍾乳石が成長したような感じでした。

このようにならないように、いつもキラキラと楽しめるように、早い目に時々メンテナンスに出されるといいですね。

このあと、仕上げ磨きを施します。

ジュエリーリフォーム  岡田彫金工房



 

K18中空イヤリング片方制作

片方無くしたイヤリング 再現創作します

毎日着けておられたイヤリング、ふと気づくといつの間にか耳から外れて片方だけが行方不明に。
気に入っていたので 同じように作って、とのご依頼をいただきました。

片方になってしまったイヤリングの左右対称形のもう片一方を作るご依頼を

K18イエローゴールドで、片方になってしまったイヤリングの、左右対称形のもう片一方を創ります。

揺れる雫形と3本くっついた雲のようなパーツと…。
耳たぶに着けますので、できるだけ軽く。

もともとはプレス加工で作られていたはずの品を、型の無い状態でどのようにして同じものに作り上げるか、というところが課題です。

イヤリングですから、比重の大きいゴールドで分厚く作ってしまうと、耳から外れて落ちてしまうことになります。

0.3ミリの板地金をヤニの上に置いてタガネで打ち出して作ろうか、鉄の塊をタガネで凹形に彫って0.3ミリの板地金を打ち込もうか、K18イエローゴールドの展延性を自分の感覚と相談しながら、その他いろいろ頭の中で模索しました。

K18イエローゴールドぶら下がりタイプイヤリング

効率良く美しく仕上げるために、キャストして作ることにしました。

キャスティングの場合は、薄くても0.7ミリ程度の厚さがないと溶けたゴールドが板状の隙間にうまく流れてくれないので、製品の目方は片側見本品の2倍以上になってしまいます。

その問題を解決するために、鋳造時の金属の縮みしろとゴールドの形を整えるときのヤスリしろを考慮に入れて、ハードワックスの寸法を決めました。
出来上がりの雫形が0.3ミリの厚さで、もう片一方との寸法が同じになるように工夫しました。

K18中空イヤリング制作

右画像の右端が残っている方のイヤリングです。それを見本に左右対称形に左画像のパーツを作りました。

見本品は、たぶんプレス製で厚さが0.1ミリくらいです。
結局、左右対称形の元の片方と目方を比べてみると、だいたい8割り増しのグラム数でできました。キャストのジュエリーを0.2ミリ弱の厚さで制作したことになります。
これ以上薄くするとどこかが破れて穴が開いてきますので、この辺りが薄さの限界です。

K18中空イヤリング制作

本体パーツは18金ロウでロウ付けして、イヤリング金具や丸カンは14金ロウでロウ付け。
雫を吊り下げる丸カンは、高温ロウでは融けてしまいますので、10金ロウで閉じました。

この後、磨き仕上げ工程に入り、完成です。

 

ジュエリーリフォーム/フルオーダー 岡田彫金工房



 

K18とSV925のコンビ指輪を

ゴールドとシルバーのコンビリング

指輪内側の[750]の刻印は、千分率で1000分の750、百分率で100分の75、ということで75パーセントの純金含有率を意味します。

別の表現では、これを[K18]とか[18金]とか言います。
純金のことは、24金、とも言います。
18金は、18÷24=0.75 ですので、75パーセントの純金を含んでいます、ということです。

つまり、ゴールドの純度のお話しの中では、750と18金とK18と0.75は同じ内容のことを言っています。

[925]は、千分率で1000分の925、百分率で100分の92.5、ということで92.5パーセントの純銀を含んでいます、という意味です。

silver925はスターリングシルバーとも言います。
ジュエリー素材としての性質が良いです。

このティファニーリングも製造された時と同じくきれいに輝くようにお仕立て直しいたしました。
1990 の刻印があります。

ジュエリーメンテナンス 岡田彫金工房



 

ピアスをイヤリングに

 

折れている針を取り去りますゴールドのパールピアスをホワイトゴールドのイヤリングにリフォームするご依頼をいただいていました。

かなり頑丈に取り付けてあったようで、何度も下準備をしてからピアス金具を真珠から抜こうとしていると、ポストの根元からK18地金がねじ切れてしまいました。

接着剤が劣化していて力を加えないでも簡単に外れるものもあれば、どうにもならないほど硬くて抜けないものや、すでに事前に少し捻ってあってもう千切れる寸前であったり、いろいろなジュエリーに出会います。

ゴールドの軸が数ミリ、真珠の中に残ってしまっています。
時どきこういうことが起こることもありますが、ここは慌てず騒がず冷静に対処します。

右上は、残ったゴールドの上に1ミリの深さくらいまで穴を開けたところです。

左下は2.5ミリくらいの深さにまでドリルで穴を開けています。
ポストの直径は0.9ミリです。
真珠にダメージがいかないように、もう少し深く慎重にゴールド地金だけを削ります。

うまくポスト地金を全部取り除くことが出来て、ネジバネのイヤリング金具を取り付けて、きれいに完成いたしました。