細心の注意を払ってもいつも緊張するエメラルドの加工

エメラルドはデリケート

ヒビのあることが普通のエメラルド

宝石は、初めからこのようなヒビが入っていると、普通はジュエリーには制作加工しませんが、エメラルドだけは別格で、指輪やペンダントになります。

加工スタート

サイズ直しのご依頼がありました。

振動を与えず、石に力を加えず、そーっと糸ノコでカットし、そーっと地金を曲げ、そーっとロウ付けし、そーっとヤスリ加工し、そーっと磨き、そーっと洗浄し、そーっと乾燥させました。

普通の何倍も長く時間がかかりました。

ヒビが大きくなることも無く、割れて爪から外れてしまうことも無く、まったくのノーダメージで上手くサイズ直しできました。

休憩。

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これもエメラルド

リメイクのご依頼を承った別のエメラルドジュエリーです。

お預かりしたエメラルドジュエリー

日本の高度成長時期にお求めになられたかなり立派なお品で、リングのエメラルドが特に美しいです。

ペンダントに付いている三角形のバチカンは、外さないでそのまま下に向けて耳元で揺れるチャームとされるご希望でした。

確認タイム

加工制作に入る前にエメラルドの確認をします。

エメラルドを拡大してあらゆる角度から眺めます

ルーペで拡大し子細に見てみると、ペンダントのほうは4本とも爪が浮いて、エメラルドとのスペースに接着剤が充填してありました。
リングのほうの爪は全部プラチナ地金で石留めされていました。

これはアラ探しをしているのではなく、加工中に割れる危険性が一番高い宝石であるエメラルドの全体像を把握して、安全にリフォームするための下準備なのです。

慎重に

エメラルドは工具で力を加えると、フォークの背で瓦煎餅を押したようにクシャっと割れます。
この宝石は、加工する者にとっては非常に怖い宝石で、慎重の上にも慎重に注意深く取り扱うべき貴石なのです。

ペンダントのほうはうかつに爪を起こすと、接着してあるあたりの一部がピシッと欠けたりします。
安全を模索しながらいろいろな手を加えて、エメラルドを枠から外せるまでに丸2日の時間がかかってしまいました。

なるほどと納得してから加工を進めます

天然エメラルドは、宝石の内部などにヒビや内包物があっても普通のこととされる宝石です。
宝石の全てをあらゆる角度から時間をかけて充分に眺め尽くして、心を決めてから作業に取り掛かりました。

ジュエリーリフォーム/フルオーダー 岡田彫金工房


エメラルドの石留め
エメラルド指輪のサイズお直し


 

腕時計バンド ロウ付け

時計バンドの修理

とりあえず蝶番の軸を抜いて、全部のパーツをバラバラにしました。

パイプの一部が欠損していたり、ロウがはみ出ていたり…。
以前に何度かどなたかが修理加工されているようです。
今使おうとしているホワイトロウよりかなり融点の低いロウが使われていて、作業を困難にしています。

真ん中のパイプは最適な位置を探してしっかりとロウ付けしました。

左右のパイプは欠損部分を直してロウ付けしました。

軸を半ばまでねじ込んで、金具として機能しているかどうかの確認をしました。

ダイヤモンドの爪を大きく

ダイヤモンドの爪が短いので

先月、洋服が引っかかるので、とご相談をいただいていました。

指輪を拝見しますと、爪が起きてダイヤモンドとの間に隙間ができていました。
かぶさっているプラチナ地金も薄くなってダイヤモンドがほとんど落ちそうです。

爪を修理してしっかりと石留めし直す加工を承りました。

指輪の内側上部にブルーダイヤが石留めされていましたので、ロウ付け時の高温でダメージを受けないようにきれいに外しています。
直径1ミリほどのブルーダイヤですので、小さな4つの爪を壊さないように注意深く作業しました。

中石の4本のプラチナ爪は、できるだけロウ付け面積が広くなるように工夫しました。

爪は1ミリに満たない幅や厚さですので、0.1ミリも削りすぎると予定よりかなり余分に削ってしまうことになります。細心の注意を払って爪の形を整えます。

この後はきれいに全体を艶出し加工をして、ブルーダイヤとセンターダイヤを石留めして、最終仕上げを施せば完成です。
あと1日です。

ホワイトゴールド時計バンドお直し中です

ホワイトゴールド時計バンド

ホワイトゴールド時計バンドの幅の8割くらいが千切れていますので、一番端のコマだけをロウ付けで固めた時の画像です。

全体がしなやかに動くようにとのご希望をいただいていますので、ロウ付けで固めてしまってもなんとかそうなるようにしようと奮闘中です。
いろいろと手を加える箇所がかなりありますので、やり甲斐があります。

マリッジリングの制作と手彫り文字入れとプラチナダイヤモンドリング枠の爪加工などと並行して進めています。
今しばらくのお時間を、よろしくお願いいたします。

この秋はなぜか多忙でブログ更新頻度も少しペースダウンしています。
もうすぐ元のようにしたいと思っています。

プラチナのダイヤモンドタイバーを

プラチナダイヤモンドタイバー

かしめてある軸をタイバーの折れた金具から抜くために15分ほど格闘しましたが、抜けません。

別の選択肢として、ドリルで軸だけを削りました。

抜けない原因は、バネの内側で軸が曲がっているからでした。

硬いホワイトゴールドのパーツが使ってありますので、ロウ付けした後、ロジウム仕上げをします。

きれいにお直しが完了しました。

このような修理品の場合、ピンセットや爪で挟んで一時間苦労しても中のバネを上手くはめ込むことは出来ませんので、この作業をする時には工夫が要ります。

なんでも分かれば簡単。知れば簡単。気づけば簡単。

カラゲ線でバネを閉じておいてから、はめ込んで、後からカラゲ線をほどきます。

目からウロコのテクニックです。知らなかった方はお試しください。