20数年前の刻印の入ったプラチナマリッジリングのお直しを承りました。
すでに2つになっていましたので、指から抜けなくてどちらかでカットされたのだと思います。
修理の段取りとしましては、まずはプラチナ棒の準備からです。
お預かりしたリングの厚さと幅よりも幾らか太いめの長いめの材料を用意しまして、その棒を予定リングサイズのアールに曲げます。
次は、お預かりしたリングのカット面をすり合わせてからロウ付け加工をします。
ちょうど内側の刻印を避けてカットしてありましたが、ロウ付け個所から2~3ミリほどの所でした。
ロウが流れて刻印を埋めてしまわないように注意深く炎を当てます。
1か所のロウ付け加工できますと、リング本体を削らないで、内側にはみ出たロウだけを滑らかに削り取ります。
それから予定サイズに形を大きく広げます。
ところがプラチナリングの地金がとても硬くてなかなか広がってくれず、力を加えてもアールが小さなままです。
芯金に通して外側から強くリングを叩くと、内側の刻印が潰れて消えてしまいます。
刻印はとても小さく浅く入っていましたので、かなり注意深く時間をかけて形を整えました。
予定のサイズのアールに形ができますと、あとは追加プラチナ地金が隙間なく嵌るように、すり合わせ加工をします。
角度と長さがぴったりにできましたら、丸いリングになるように2か所のロウ付けをします。
ここでもロウが刻印の上に流れないように、温度と炎の位置に細心の注意を払って、大きさを調節した炎を当ててロウ付け加工をします。
ロウ付けが無事済みますと、またリング内側の2か所に余分に盛り上がったロウだけを削ります。
その後、真円になっているかを確認して、少しでも歪みがあればちょうど良いように曲げ直します。
あとは側面と表面に盛り上がっているロウを削り取って、均一な面に作ります。
リングの表面には長年の歴史である小傷が付いていますので、その古傷もヤスリ跡と共にツルツルになるようにヘラで潰す加工をします。
内側の刻印は1ミリほどのサイズでしたが、2文字が浅く薄くなってほぼ読めなくなっていましたので、手作業で文字を彫り込みました。
その後、バフで照り出しの最終磨きをして、ロジウム仕上げを施して、無事完成です。
本日ご夫婦で受け取りにご来店くださり、サイズぴったりにできていましたので、喜んで頂けました。
ご注文くださり誠にありがとうございました。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
【 抜けなくなった指輪は指輪用カッターでカットできます。ゴールドリングもホワイトゴールドもシルバーも、専用カッターでその場でカットしています。お困りの時はどうぞご来店くださいませ。すぐに指が自由になり安心いただけます。
プラチナやゴールドなど、リングサイズ直しやロウ付け修理が可能です。デザインすることやジュエリーの販売だけではなく、加工技術者常駐のお店です。】